左翼はベーシックインカムに対して保守的過ぎるのか?

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左翼が保守的になる理由はすぐにわかる。もともとマルクスの思想は自分たちのそれを科学的社会主義と呼び、それ以前の社会主義を空想的社会主義として批判した。空想的社会主義者とされたフーリエ、オーウェンなどは自ら考えたより良き社会体制を考え実践したがうまくいかなかった。

いまのBI推進派の論調を見ていても常に貨幣を基準に考えているが、貨幣そのものには価値などない、ということをすっかり忘れていて、社会構造を大きく変えるようなことをすれば貨幣の価値のありかたそのものも変わる可能性があるのに、そのことをほとんど考えていないといえると思う。

だからどうしても懐疑的になってしまうが、とはいえそれをちゃんと検証しようとなると、まず空想的社会主義者のこともよく調べなければならず、フーリエなんかも頭がよかった人なので大変で、BIについてもどう考えればよいのかわからなくなってしまう。

価値は労働によって創造される。これが基本テーゼだが、マルクスは当時の賃労働者を個性のない人間と考えていたので、いわゆる芸術的労働については例外的なものとして扱っていた。よってこれらがどういう交換価値をもちえるのかわからない。

と同様に怖いのが、BI推進派の人々は資本についてあんまり考えていない点だ。BIの世界では生産手段を所有する人格がとても大きな権力をもつ怖さがある。それは国家をも凌いでしまうのではないか、という感じもする。

およそこういった理由が左翼がBIに対してもつ不安感で保守的になってしまう理由だと思う。

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