違法という言葉にどうも違和感があるので、法的意味で”違法”とか”犯罪”の意味をはっきりさせたい。

まず簡単と思われる「犯罪」についてだが、憲法にも刑法にも刑事訴訟法にも犯罪の定義はなくこの言葉は前提として使われている。仕方ないので刑法の条文を見ることからはじめよう。

第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

このように、「~に処する」とか「罰する」とか書いてあった場合のその行為のことを「犯罪」と呼ぶととりあえず考えておこう。

問題は「違法」の方だ。違法というのは”法と違う”という意味だと思うが、この法とは刑法ではないだろう。ある行為が刑法と違うということは、刑法に書いてないということであり、犯罪ではない、ということだからだ。よってむしろこの場合は「適法」と呼ばなければならない。

しかしこれだと一般的理解と言葉の意味が逆になってしまうので、「違法」の法とはrightの意味、広い意味での法、あるべき正しさ、みたいな意味で使われていることになる。

いずれにしても常識的で倫理的な善悪の概念と法律で使われる言葉が一緒になっていることが混乱の原因だ。これはドイツ起源の刑法とイギリス起源の言葉が混じった結果なのか、どの国でもそうなのかはわからないが、一神教の場合は啓典に倫理的なことが書いてあるから誰も疑問に思わないのかもしれない。

というわけで違法って言葉はまともな定義がないから、法律的な話をしているときにこの言葉を使うのは混乱のもとになるし、この言葉を言っている人は法律のことを言っているのではないのだと解釈するしかないのかな。しかし「違法性阻却自由」とか言って専門領域でもこの言葉を使っているのでますますわからなくなるし、広辞苑には以下のように載っている。

法律または命令にそむくこと。「―駐車」

命令にそむくならわかるが、法律にそむくとは何であろうか?と思ったら道路交通法には以下のように書かれていた。

第四十四条 車両は、道路標識等により停車及び駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。ただし、乗合自動車又はトロリーバスが、その属する運行系統に係る停留所又は停留場において、乗客の乗降のため停車するとき、又は運行時間を調整するため駐車するときは、この限りでない。

どの法律にも「~してはならない」と書いてあれば違法の問題はすべて解決する。しかし刑法にはどこにも「人を殺してはならない」と書いてない。なぜなんだろう。

なにか深い理由がある気がするが、わかったらまた書こう。小室直樹さんがどっかで裁判官に対する命令云々書いていたと思うがそれ以外の理由で。

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