党首討論について

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経済

国会の党首討論を聞いていたが、やはり経済に関しては政府も野党も十分な認識をしているとは思えなかった。安倍(以下敬称略)はリフレ派の取り巻きに影響されてだろうが雇用だけをことさら強調しマクロ的だなどといって自賛していた。データを見れば2012と2015を比べてみると大体以下のようになる。

実質GDP:1.9%上昇
就業者数:2.2%上昇
消費:調べてないが大きく下落

つまり雇用が増えた分のGDPすら上昇していない。だいたい増えている雇用は介護であって、今後介護の需要が大きくなることを考慮すればこの領域は如何に人を使わずに需要を実現するかが課題であるはずだし、なにより消費が大きく下落している。GDPは生産の指標であるから、消費は海外であってもいい。アベノミクスは海外のために日本人に生産させたのである。もちろん海外のために日本人が生産することそれ自体はもんだいない、しかしそれはまず日本人が第一であって、日本人の消費を減らしてまで海外に貢献する道義はない。

税収増も結局この中のおこぼれから出てきたものなのだから、それならこんなことをせず初めから税でとったほうが効率がいい。しかし現在リフレ政策が一周してわかったことは、リフレをやれば税収が増えるがGDPは増えない(リフレをやめた2016のGDPは上がっている)ということであり、リフレをやめればGDPは増えないが税収が減るということである。となれば答えは簡単のはずで金持ちから取るということにしかならない。それが国際環境的に一国では無理というなら国際ルールとして規定する努力をすべきだ。

カジノ法案

カジノも発想は同じである。海外の金持ちのために日本人を働かそうというのである。こういうことになれば日本人同士の物質的関係が希薄化することであり、それは人間の幸福度や実存にかかってくる。簡単に言えば生きがいを感じなくなるのだ。カジノの問題でも依存症やら犯罪ばかりが注目されているが、それは国民の水準によって乗り越え可能であり、本来的には誰でもカジノを運営できるべきだし誰でも楽しめるべきなのだから、それを問題にするならばなぜ依存症や犯罪に結びついてしまうのかを考慮しなければならない。安倍がカジノを成長戦略と視点は表象的な数字しかみておらず、経済は国民の精神を構成する重要な要素だということをあまりに軽く見ている。がそれは取り巻きの経済学者のせいでもあるだろうから少なくとも経済に関しては現在過渡期であり、がくもんそのものも未成熟性もあって画一的な見方は危険だということを知るべきで、意見の違う人間の話を総体的に判断して政策を決定すべきだ。安倍はことさら責任を強調するがその意思が見えないのは自分で判断していないからであり本当に責任をとりたいなら自ら根拠を理念に照らして判断するという経験を積むべきだ。

南スーダン

共産党は憲法を理由に撤退を求めていたが、この問題はそもそも国連に十分な力がないことにある。国家を成り立たせるにはいくつかのレベルが必要であって南スーダンが今どの段階にあるのかという問題意識がない。アメリカは常に単純に考えて3の水準にしかないところに10の要求を実現できると信じ国際的に失敗を繰り返し、その反動として国際社会から身を引くとか言う言説も表れたりするのだ。今の国連も同じようなところがあって本来のPKOの枠組みを超えて頑張っているが、このままだといつまでも居続けるか、いなくなったらまた内戦になって無意味だったということになりかねない。

もし南スーダンがこの水準ならば選択肢は2つで、一つは無視するか、もう一つは国連がもっと権限をもって実効支配するかだ。一国でやれば侵略になってしまうのだから。