うさぎについて

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うさぎはもっとも悲しい生き物だと思う。ふと小学生くらいか、こどものときのことを思い出した。うさぎは檻みたいな小さなすみかにいた。だれが飼おうと言い出したのかよく覚えていないが多分動物好きの弟だろう。

うさぎを散歩に連れて行くなんてできなかったと思う。そもそもうさぎは決してうれしそうにしない、かといってなにか楽しいことをしてあげようとしても、食べ物をあげることしか思いつかなかった感じがする。にんじんよりもほうれん草が好きだった。ほうれん草の緑の葉っぱの部分が大好きだった。大好きだったとわかるのは食べる勢いが早かったし、緑の部分だけは食べ残していることがなかったからだ。

犬も飼ったことはある。犬は楽しそうにするからいい。死んだときには悲しかったが、今思い出してもうさぎほどの悲しさはない。猫は人間に対しては楽しそうにしないが、気持ちのいい場所にいったり、細い壁の上をあるいたり、自分自身でそれなりに楽しんでいるようだ。ほかの動物もうさぎほどは悲しくない。馬は凛々しくしているし、ライオンは強いし、ヒョウは速いし、像やサイは達観してる感じだし、熊や狼は強いし、イノシシも突進するし、ハムスターは車輪見たいなかで必死に走ってるし、豚や牛は人間に食べてもらえる。

そのうさぎは結局、親の実家の近くの山に放したのだった。なぜそうしたのか記憶にない。おそらく檻に中で一日中何もせずにじっとしているすがたを見ているのにが耐えられなくなったんだと思う。放したうさぎはゆっくりと山の奥に、歩いていった。走っていったという感じじゃなかった。そもそもうさぎは歩いてるとも走っているとも言えないような移動だ。後ろ足は同時に動かしてジャンプするようになるから、そうすると前足も両方同時に動かさないとうまくいかないきがするが、そうすると歩くという感じじゃなくなる。神様に歩くことを禁じられてしまったのだろうか。うさぎの後ろ足は面積が大きいと思う。簡単に立ち上がれると思う。人間なんかより立つのに適した足をしている。立って二本足で片足ずつ交互に動かして歩いたほうがうさぎにとっても具合がいいんじゃないか。きっとそういう決断をしなかった理由があるんだろう。

山に放したうさぎはとうぜん人間のことなどお構いなしで振り返りもしなかったと思う。あの山には熊がでるといううわさを聞いたことがある。きつねとかもいるのかもしれない。いたらすぐに食われるだろう。ずっと檻の中でじっとしてたので早く走れるわけない。それでも食われたほうが幸せだと思う。

うさぎは悲しいと死んじゃうんだよとか、誰かが言っていたがうそだと思う。最も悲しい生き物、悲しさに耐えられる生き物だ。

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