不況のもたらす反復

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今の日本がかかえている不況は長期的な不況だから、高々好景気と不景気が繰り返して今は不景気ですよみたいなものとは訳が違う。長期的ということはこれからもそうだろうということが予想できて、そういうことになれば人々の生活が全然変わりませんよということを意識させることになる。

人間は同じことの繰り返しには耐えられない。哲学が精神について考えるときの前提の一つがこれである。自然は同じことの繰り返しのように見える。動物もそうだ。しかし人間は同じことの繰り返しにはいつか飽きてしまう。そしてそれを繰り返すことに耐えられなくなる。例えば最大の自然数を考えようというとき、1,2,3とどんどん大きくしていくような作業はすぐにくだらないと感じ、それを続けなければならないとすると精神に大きな負担がかかる。

経済が上向いているときはこのような反復を感じることは少ない。もっと楽しいことがいつか起こるだろう、この生活もいつかは変わるだろう、そういう希望を抱かせ、精神は安寧でいることができる。

だから現在のような不況のときは、まずは経済に解決を求めるけれど、どうもそれができないのではないかということになると、他のところに変化を求めるようになっていく。例えば政治だ。首相がコロコロ変わる。そして変わるたびにコロコロ変わるななどと批判されるが、変わってもその首相が大きな変化、しかも将来の変化も保障してくれるような変化をもたらしてくれるとみなされないと、やっぱり耐えられなくなってくる。

東日本大震災はそんな変化を求める精神に一時的ではあるが安寧を与えたが、また同じ反復にすぐ戻る。

19世紀後半も同じような停滞だった。列強各国は植民地開拓に乗り出した。現在の日本も同じである。植民地か海外への資本投下の違いでしかない。しかし海外に出て行ったところで国内は何も変わらない、むしろ国内の不変の維持するための海外展開なのだ。

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